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構造家コラム
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- 建築政策の国際会議に参加して -

  11月27日、韓国ソウルにおける、建築政策に関する国際会議に呼ばれた。わが国に先立って昨年11月に成立した建築基本法のもとで、AURi(建築都市研究所)を新しく立ち上げ、40人ほどのスタッフで、法整備も含めて建築政策全般の企画、提案を行おうということで、午後5時間のシンポジウムが、国立博物館の会議場で開催された。今回は、オランダ、イギリス、スコットランド、日本の4カ国が招待を受けて、それぞれの国内での動きの紹介があり、その後、韓国の関係者によるパネル討論という形であったが、後日報告書として取りまとめられるという。
構造安全の問題を前に出した話は、日本からのみで、他は、都市設計の視点や景観づくりに、建築家の知恵をもっと取り込む方策を出したいと言う内容が主であった。1999年から2000年あたりが、都市政策と建築計画の融合を図る試みが、いろいろな国で具体化したときのようである。韓国では、わが国同様に、第2次大戦後は、建築基準法、建築士法、建築業法などの法制度のもとで建築制度ができているが、法全体が複雑で混乱しているとの認識から、ここに来て、建築基本法(Framework ActsあるいはFundamental Acts)を掲げ、理念や関係者の責務を明確化するところまでは、すぐにできた。さてこれから、どのように行政展開を示すかということである。

  わが国で建築基本法を唱えて活動しているということで、お呼びいただいたということは、国際的にも見てくれている人が居るということで、ありがたい限りである。われわれの側からアピールするというより、むしろ、基本法の後、何をすべきかという視点で、いろいろ参考になるものであった。

  法の詳細な規定にとらわれるよりは、それぞれの土地にあわせて文化的要素を生かすことが、魅力あるまちづくりになるとか、イギリスのCABEが1999年に設立されて、年間70件程度のプロジェクトのデザインの評価を行うことで、質の高い建築を生んでいるなど、法に書けないことを建築家に期待し、良いものを広めていく政策とは何か、建築家にとっても興味深い議論であったと思う。スコットランドも類似の制度が発足しているという。また、グラズゴーのライトハウスという組織が、まちなみや景観作りに実績をあげている。 ソウル市内の河川の復活こそ成し遂げたものの、あちこちに超高層アパートの林立するソウルが、建築の魅力を示すための努力は、具体的取り組みの表れとしては、ほとんどこれからの問題でもあると感じた。わが国で、安全の問題を法規制任せにして、無責任体制で建築生産がなされてしまうことへの問題提起と、逆に技術者が規制でがんじがらめにされて、自らの工夫や判断の余地も取り上げられ、面白みのない構造を強制されている現状とは、ある意味で基本は同じである。ただ、新しい世代へ向けての政策展開が、一足速く始まったということを強く感じた。

  ヨーロッパでは、建築家も構造技術者も専門家としての社会的地位が確立しており、基準はあるものの、専門家としての判断が尊重されるということが言われているし、現にわが国に比べると事実であると思うが、最近になって必ずしも状況がよくないと言う。何も建築家に頼まなくても、建設会社に直接頼んでも、そこそこのものができるというようなことが少なくないという。形式的な性能は同じでも、そこに盛り込まれた設計があるかないかで、建築の質は随分と異なる。施工会社と言う意味では、わが国のゼネコンの評価が高かったが、逆に、「近年では、他社の設計を十分見直して施工に責任をもつというようなことは少なくなったようだ」と姉歯事件も紹介しながら意見交換を行った。

  設計という行為は、条文や規則だけで質が確保できるものではない。これは意匠設計も構造設計も同じことである。設計に時間をかけることで、建築主の期待する以上のものを作り、それが結局のところ、社会資産としても評価される。そのような社会制度を、これからどのように作っていくか、改めて、21世紀の世界共通の課題であると思った。